“書く”ことは楽しい。ひと味違う文具店 ーカキモリ@蔵前【前編】

yuka

13.11.05

人は書くとき、必ずイメージします。手紙なら相手のこと、日記なら今日起こった出来事、宿題なら質問の答え…いや、提出する(こわーい?)先生のことかもしれません。いずれにせよ、書くことは人のこころを動かし、ポッと温かくしてくれます。

書くことを楽しくしたい。そう願うのが、蔵前駅からてくてく歩いて3分ほどの文具店「カキモリ」です。

(写真:通りに面した大きな窓からは、たっぷり陽光が注ぎます)

(写真:通りに面した大きな窓からは、たっぷり陽光が注ぎます)

新しいことを! 模索の末、出会った1台の機械

2010年11月にオープン。今年で3年目を迎える「カキモリ」を営むのは、文具店の3代目である広瀬琢磨(ひろせたくま)さんです。

(写真:忙しく飛び回っていらっしゃいますが、店頭でお会いすることもできます)

(写真:忙しく飛び回っていらっしゃいますが、店頭でお会いすることもできます)

広瀬さんのご実家は、おじいさまの代から続く群馬県の事務用品店。曰く「子供の頃から文具には親しんでいたけれど、文具屋を継ぐ気はなかった」のだとか。しかし数年前、家業を盛り立てるべく実家はお兄さまが継ぎ、広瀬さんは東京へとやってきました。

「大手セレクトショップや、注文した当日に届くインターネット販売……。文具を取り巻く様子は昔とずいぶん変わり、小さな文具店はどうしても圧され気味です。そんな今、あえてお金をかけて新しいことをするのだから、自分の思い描くかたちで店をやろうと考えました」

もっとお客さまと関わりをもちたい。新しいことがしたい。そう模索する中、アメリカ製の製本機に出会います。

(写真:こちらがその機械、“リング製本機”です)

(写真:こちらがその機械、“リング製本機”です)

アメリカでは大学の売店などに置かれている機械を使って、「カキモリ」ではお客さまが選んだ紙をその場でノートに仕立てます。店がオープンした2010年当時、常設で、しかもその場でオリジナルのノートが受け取れる店はあまりなかったのだとか。

「紙や素材を選んだら10分くらいで仕上がるので、ご自分用はもちろんギフトにと作っていかれる方も多いですね。皆さん、わぁっと頬をゆるませて喜んでくださる。そんな様子を見るのもうれしいんですよ」

(写真:ガラス戸をあけると、右手にノート用の素材が並びます。中紙は30種・表紙は60種ほど常備)

(写真:ガラス戸をあけると、右手にノート用の素材が並びます。中紙は30種・表紙は60種ほど常備)

出会うことも文具選びの楽しみ

店内奥の、万年筆が並べられた棚も見どころのひとつ。万年筆と聞くと敷居が高く感じがちですが、広瀬さんがいうには「文字を書くことにはうってつけ」。試してもらうきっかけになればと、万年筆入門にぴったりの商品を揃えているのだとか。また、これらはすべて試し書きOK。触れて握って書いて、しっくりくる1本が選べます。

(写真:1000円〜3万円くらいの、手にとりやすい価格のものがズラリ)

(写真:1000円〜3万円くらいの、手にとりやすい価格のものがズラリ)

「インクの自然なにじみや文字の抑揚のせいか、万年筆は文字に表情や気持ちが表れる文具だと思います。どれがいいか悩んだら、どんどん相談してくださいね」

ラインナップの多くは日本製。そのわけは、値段と品質のバランスがよいから。また、手に馴染んだお気に入りをずっと使ってもらえるよう、アフターメンテナンスができるものがほとんどです。このほか、ボールペンやサインペン、ペンケースや便せんなど、あらゆる“書く”にまつわるプロダクトもセレクト。いずれも万年筆と同じく、手にとりじっくり吟味できるのがうれしい!

商品はもちろん、商品につけられたPOPも目をひきます。

(写真:文具好きの添える言葉は信頼感抜群。読み応えも十分です)

(写真:文具好きの添える言葉は信頼感抜群。読み応えも十分です)

これはどんな商品なんだろう? 店員さんに聞きたいな。あ、でも今ちょっと忙しそう……。そんなふうに躊躇してしまうこと、ありませんか? 「カキモリ」では、店内ほぼすべての商品に手書きのPOPが添えられています。それらは全て、スタッフがこつこつ書いているのだとか。

「セレクトした文具は、どれも作り手の想いが感じられる、物作りに意図のあるものばかり。どこでも手に入るものは避けているから、作っている方々の想いを僕たちの手でお客様にお届けしたい。うちの店は、作り手と使い手を繋ぐ場でもあってほしいんです」と話す広瀬さんの店、そして文具への想いはひとしお。店内を見渡す目は愛情でいっぱいです。

さて、前編はここまで! 後編では、なぜ広瀬さんが蔵前へ店を構えるに至ったのか? ヒガシ東京との出会いを伺います。

【詳細情報】

住所:東京都台東区蔵前4-20-12
電話:03-3864-3898
営業時間:12:00〜19:00・月曜休(祝日の場合は営業)
http://www.kakimori.com/